日本大百科全書(ニッポニカ) 「バラティンスキー」の意味・わかりやすい解説
バラティンスキー
ばらてぃんすきー
Евгений Абрамович Баратынский/Evgeniy Abramovich Baratïnskiy
(1800―1844)
ロシアの詩人。タムボフ県の貴族の家に生まれる。その多くの叙情詩は自己の深い苦悩と思索に貫かれ、代表作『幻滅』(1821)はグリンカにより作曲された。1825年以後は『スタンス』(1827)などにみられるようにしだいに厭世(えんせい)的になるが、その深い思想と繊細な味わいに満ちた詩はプーシキンに高く評価され、後期の傑作『ゲーテの死に』(1832)はゴーリキーに賞賛された。ほかに叙事詩『供宴』(1820)・『エダ』(1824)・『農奴移住』『舞踏会』(ともに1828)・『ジプシー女』(1831)、中編小説『指輪』など。
[草鹿外吉]