日本大百科全書(ニッポニカ) 「バレース」の意味・わかりやすい解説
バレース
ばれーす
Jules Vallès
(1832―1885)
フランスのジャーナリスト、作家、革命家。家系はオーベルニュの農民の出で、父は小学校のちに中学校の教員。1848年パリに出たが、第二共和政末期、ナポレオン3世によるクーデター、第二帝政の時期にあたり、プロレタリアート擁護の立場からジャーナリストとして活躍する。1871年パリ・コミューンでは地区委員として活動、その後政府側から死刑の判決を受け、ロンドンに亡命、1880年特赦令によって帰国。新聞に掲載した数多くの政治、社会的評論のほか自伝的作品ジャック・バントラス三部作(『幼少時代』l'Enfant、『大学入学有資格者』le Bachelier、『叛逆(はんぎゃく)人』Insurgé 1879~1886)があり、社会体制への憎悪、貧しい者への同情が、伝統的文体を逆手にとった風刺的文章で綴(つづ)られている。
[宮原 信]