改訂新版 世界大百科事典 「バロニア」の意味・わかりやすい解説
バロニア
Valonia
暖海域の低潮線下の岩上に生育する,ブドウの果実を思わせる形状のバロニア科の緑藻の1属。球状の部分が1個の細胞で,細胞壁の内側に沿って原形質があり,ここに多数の核と網目状の葉緑体がある。細胞の内部には細胞液が充満する。代表的な種類にタマゴバロニアV.macrophysa Kütz.,タマバロニアV.aegagropila (Roth) Ag.,オオバロニアV.ventricosa J.Ag.がある。前2種は倒卵形ないし楕円形の細胞が密に集まって団塊状となるが,オオバロニアは細胞が球形で単独に生育する。細胞の大きさはオオバロニアが最大で,直径5cmぐらいにもなる。次いで大きいのはタマゴバロニアで,細胞は直径1cm,高さ3cm以上にもなる。バロニアは細胞が大きいので,生理学の実験材料によく用いられる。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報