南海(読み)なんかい(英語表記)Nan-hai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

南海
なんかい
Nan-hai

東南アジア地域に対する古代中国人の呼称。時代により用語の示す地域が異なる。前 214年,秦の始皇帝嶺南の地を経略して,その地に3郡 (桂林,南海,象) をおいた。その一つ南海郡は広東地方を占め,南シナ海に面し,象牙,犀角タイマイ (大亀甲) などの貿易中心地であった。のちにはこの地に南シナ海を通じて来航する国々をも広く南海と呼ぶようになり,インドシナ半島マレー半島インドネシアの諸島,フィリピンなどの諸地域を含むようになった。さらに中国人による交易地域の拡大によって,インド洋アラビア海ペルシア湾紅海などの沿岸諸国をも含むようになった。後世,西洋,南洋などの語が南海に代った。

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百科事典マイペディアの解説

南海【なんかい】

中国大陸南方の海とその沿岸の古称。また,中国から南方へ発して海路で到達しえた東南アジア・南アジア・西南アジアや東アフリカ沿海諸島をもさした。現在の用法前者に近く,日本でいう南シナ海に当たる。

南海【なんかい】

中国,広東省珠江デルタ北部にある仏山市の一区。123万人(2014)。

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世界大百科事典 第2版の解説

なんかい【南海 Nán hǎi】

本来は中国の南方にある海,つまり南シナ海のことであるが,南海を通じて中国と往来する国々または海港をも意味する。秦の始皇帝のとき前214年に南方を征服し,今日の広州に南海郡をおいたのは,そこが南海への連絡口だったからである。のちには南シナ海の南部からインド洋にわたる海域を南洋と称し,広州または泉州(福建省)から南に伸ばした一線によってこれを東西に分け,東洋,西洋といった。【日比野 丈夫】

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大辞林 第三版の解説

なんかい【南海】

南方の海。南の海。 ⇔ 北海
◇ 「南海道」の略。
中国史で当初、南シナ海、のち東南アジア諸地域をさしたが、さらに地理上の知識の拡大とともに、インド洋・ペルシャ湾・紅海などの沿岸地方までも含めるようになった。

なんかい【南海】

祇園ぎおん南海

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

南海
なんかい

中国の南方に存在する海、さらにその沿岸の諸国、またその海を航行して来貢する諸国。南シナ海の中国での名称としても使われる。中国人の地理的知識と、交易地域の拡大とともに、南海の意味する地域は広くなった。秦(しん)代、いまの広東(カントン)、広西地方に置かれた郡を南海郡と名づけたのが、この用語の始まりで、しだいに、インドシナ半島、マレー半島から、さらにジャワ、ボルネオ、スマトラの諸島に広がり、フィリピン群島にも及んだ。11世紀以後は、インド洋を越えて、ペルシア湾、紅海からアフリカの一部などの沿岸諸国をも意味するに至った。南宋(なんそう)の『嶺外代答(れいがいだいとう)』『諸蕃志(しょばんし)』、元の『真臘風土記(しんろうふどき)』、明(みん)の『瀛涯勝覧(えいがいしょうらん)』『東西洋考』などは、当時の中国人の海外への好奇心が生んだ著作であるが、これらによって南海が、時代を下るにつれて拡大する事情がわかり、南海の中国史上の意義をうかがうことができる。[星 斌夫]
『石田幹之助著『南海に関する支那史料』(1945・生活社)』

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世界大百科事典内の南海の言及

【東南アジア】より

…また古代インド人は,この地を〈黄金の地Suvarṇabhūmi〉〈黄金州Suvarṇadvīpa〉と呼んだ。一方,中国人はこれを〈南海〉と総称していた。南方の海を経由して中国に朝貢した国々,あるいは中国人が南方の海を経て到達することのできた国々の意である。…

【南シナ海】より

…中国では南海と呼ばれ,中国三大辺海の一つ。北は台湾および中国南部,東はフィリピン諸島,西はベトナムで囲まれ,ほぼ北緯10度線を境として南のボルネオ海とつらなる。…

※「南海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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