改訂新版 世界大百科事典 「バンゼ」の意味・わかりやすい解説
バンゼ
Ewald Banse
生没年:1883-1953
ドイツの地理学者。ブラウンシュワイク生れ。F.vonリヒトホーフェンとA.キルヒホフに学び,1906年以降,トリポリ,エジプト,小アジア,リビア,モロッコなどを研究旅行し,オリエント研究を生涯の課題とする。《エジプト》(1909),《オリエント》(1910),《トルコ》(1915),《砂漠,椰子,バーザール》(1921),《ハレム,奴隷,隊商》(1921),《千一夜》(1924)のほかに,《印象主義と地理学》(1920),《新地理学》(1922-25),《景観と地表の精神》(1921),《地理学辞典》(1923)などを著し,地理的要素の生きた総体としての景観研究には,要素の客観的分析よりも,芸術的直観が必要とし,各文化景観に特有の〈形態への意志〉に迫るべきことを強調した。そこには現在の知覚地理学や人間主義地理学の主張とも通じる側面があるが,他方,科学としての性格を失う危険性を批判される。35-40年,ブラウンシュワイクの高等専門学校教授を務める。
執筆者:水津 一朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報