日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンヤンノキ」の意味・わかりやすい解説
バンヤンノキ
ばんやんのき
banyan tree
[学] Ficus benghalensis L.
クワ科(APG分類:クワ科)イチジク属の常緑高木。ベンガルボダイジュ、バンヤンジュともいう。熱帯アジア、スリランカ、インド原産。高さ30メートル。葉は大形の卵形で先は鈍くとがり、長さ10~20センチメートル。果実は隠花果で、葉腋(ようえき)に双生し、径約1.3センチメートルの球形で、熟すると赤くなる。太枝や幹からの多数の気根が地面に達し、小さい林をつくる。各地の熱帯植物園にみられるが、コルカタ(カルカッタ)の植物園のものは最大で、支柱根1000本、枝張りの周囲400メートルに及び、樹齢推定約200年、主幹の太さ15.6メートルであったが、病害のため現在はない。材はあまり利用されない。同属のインドボダイジュなどと同様に聖なる木とされ、茂るに任されている。果実は食用となり、葉はゾウの飼料や皿の代用に使われる。越冬温度は5℃。日本では温室内で越冬し、繁殖は挿木による。
[田中正武 2019年12月13日]