改訂新版 世界大百科事典 「バージニア信教自由法」の意味・わかりやすい解説
バージニア信教自由法 (バージニアしんきょうじゆうほう)
Virginia Statute for Religious Freedom
アメリカにおいて初めて政教分離を定めた法律。1786年1月バージニア邦議会において可決された。バージニアでは植民地時代を通じて英国国教会(アングリカン・チャーチ)が公定教会として認められ,独立後は同教会が再編成されプロテスタント監督派教会となり,特権的地位を与えられた。このような制度の廃止は不服従派の教会員ならびに合理主義者たちによって要求されていたが,法制改革の一環として,1779年トマス・ジェファソンの起草になる〈信教自由法〉が邦議会に上程された。信教の自由という場合,一般には特定の教会・宗派の特権的地位を認めないとする消極的意味が支配的であったときに,〈宗教の信仰は万人が保有する平等の権利であり,万人は良心の命ずるままにそれを信ずる自由を有する〉とする積極的な意味を,この法律は加えた。その理念は合衆国憲法第1修正に引き継がれ,さらに強固なものとなっている。
執筆者:明石 紀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報