日本大百科全書(ニッポニカ) 「パイプバナ」の意味・わかりやすい解説
パイプバナ
ぱいぷばな
[学] Aristolochia elegans Mast.
ウマノスズクサ科(APG分類:ウマノスズクサ科)の常緑つる草。ブラジル原産。全草にすこし異臭がある。古い茎は木質化する。葉は互生し、心臓形。花は漏斗(ろうと)状で長さ約8センチメートル。名は、花形がマドロスパイプに似ることによる。別名パイプカズラともいう。鉢植えの行灯(あんどん)仕立てで観賞するほか、夏は垣根にはわせ観賞する。5℃以上で越冬する。本種のほか、一般には属名のアリストロキアの名で次の各種が栽培されている。フィンブリアータA. fimbriata Cham.はアルゼンチンからブラジル南部原産の耐寒性種で、葉は白色の網目模様が入る。ギガンテアA. gigantea Mart. et Zucc.は径20センチメートル以上の大花をつける。半耐寒性で、暖地では戸外で越冬する。グランディフローラA. grandiflora Swartz.も大きな花をつけるが、やや育てにくく、あまり栽培されない。
アリストロキア属は温帯から熱帯に350種あり、日本にはウマノスズクサなどが分布する。
[高林成年 2018年7月20日]