日本大百科全書(ニッポニカ) 「パオロッツィ」の意味・わかりやすい解説
パオロッツィ
ぱおろっつぃ
Eduardo Paolozzi
(1924―2005)
イギリスの彫刻家。エジンバラに生まれる。両親ともにイタリア人。イギリスのポップ・アートの先駆者の一人。エジンバラ美術学校、スレード美術学校に学び、第二次世界大戦後パリに渡り、ジャコメッティや超現実主義(シュルレアリスム)の作家たちの作品に接する。1950年代には、機械の部品を寄せ集めたようなブロンズ製の人物像を制作し、60年代には、SF映画に登場するようなロボットや電子頭脳のイメージをもつメカニカルな立体作品を制作。その後、単純化された形態による抽象彫刻へと移行した。大衆雑誌の漫画や写真などをモチーフとした版画も多い。長野県の美ヶ原(うつくしがはら)高原美術館に『作品』(1969)がある。芸術におけるコンピュータの利用を早くから手がけた作家であり、テクノロジー・アート(テクノロジカル・アート)の先駆者として位置づけられた。
[斉藤泰嘉]
『アンドリュー・コーズィー著『現代イギリス美術展図録』(1970・東京国立近代美術館)』▽『L・R・リバート著、関根秀一・堀邦雄他訳『ポップ・アート』(1993・洋版出版)』▽『三井秀樹著『テクノロジー・アート 20世紀芸術論』(1994・青土社)』