改訂新版 世界大百科事典 「パネンベルク」の意味・わかりやすい解説
パネンベルク
Wolfhart Pannenberg
生没年:1928-
ドイツのプロテスタント神学者。ミュンヘン大学の組織神学教授。シュリンクE.Schlink,ラートG.von Rad,E.ブロッホなどの影響を受け,独自の〈歴史の神学〉を打ち出した。歴史全体を神の啓示として理解し,その歴史全体を見渡す終りの先取りをイエスの復活の中に見る。従来の神学が救済史や実存の立場に立って世界史と分離したのに対し,彼の神学は歴史学的認識によって神認識へと昇っていく。それは〈理性の神学〉〈下からのキリスト論〉〈普遍史の神学〉と言われる。人間学を基礎とし宗教史の神学を立て,その上に組織神学を位置づけるという総合的構想をも打ち出し,弁証法神学とはまったく異なる可能性の中を歩んでいる。
執筆者:近藤 勝彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報