キリスト教神学の一部門で、とくに現代思想との接渉において、伝統的な教理を再解体して体系的に論述することを課題とする。聖書神学、歴史神学などが過去性に重点を置くのに対して、実践神学とともに現在性に重点を置く。歴史的、伝統的な教会の教理を現代において受け止め、その実践的な展開へと受け渡していく要(かなめ)となっているのが組織神学であるといえよう。伝統的には、教会の教義(教会会議の決定によって定められたドグマ)を取り扱う教義学、行為に関する理論的体系を取り扱う倫理学、キリスト教以外の立場に対してキリスト教の真理性を明らかにする弁証学の三つに分けられる。教会的なドグマを認めないプロテスタントにあっては、ドグマの学としての教義学にかわって教理学、とくに19世紀には信仰論が主張され、今日では倫理学にはさらにキリスト教社会倫理学が加えられている。弁証学についても、K・バルトのように全面的に否定するもの、E・ブルンナーのようにより積極的に論争を挑むという意味でエリスティーク(争論学)として受け止め直すもの、P・ティリヒのようにこれに重点を置いて自分の組織神学を弁証神学と主張するものなどがいる。
[熊澤義宣]
『東京神学大学神学会編『キリスト教組織神学辞典』増補版(1982・教文館)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…分け方や呼称は立場によって異なることがあるが,基本的には理論的部門と実践的部門に二分される。理論的(学問的)部門には,教義や思想を体系的に論ずる組織神学,教会史や教義史を研究する歴史神学,聖書を研究する聖書神学が含まれ,実践的部門は実践神学と呼ばれる。組織神学は教義学と倫理学とを含む。…
…キルケゴールなどの実存主義を紹介しつつフロイトの精神分析を高く評価し,神学と実存哲学,宗教と心理学の協力・総合の道を開き,とくに実存心理学と牧会心理学に貢献した。ティリヒ思想の特色は,異なる領域の境界に立って弁証法的な道を創造的に形成することにあり,それは神学と哲学,宗教と文化,存在と実存などの相関関係を方法論とした大著《組織神学》3巻(1951‐63)に体系化された。これはK.バルトの教義学に匹敵する神学である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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