パランデュシャトレ(その他表記)Alexandre-Jean-Baptiste Parent-Duchatelet

改訂新版 世界大百科事典 「パランデュシャトレ」の意味・わかりやすい解説

パラン・デュシャトレ
Alexandre-Jean-Baptiste Parent-Duchatelet
生没年:1790-1836

フランスの医学者。公衆衛生学の基礎となる多様な調査を行い,とくに都市パリの病める状態を具体的な観察とデータによって明らかにした。17歳でパリに出て医学を学び,1814年に博士号を取った後,数年間を開業医として過ごした。しかし治療にあたるなかで,当時の医学の研究成果には誤りが多いことに気づき,確実性のある研究分野を求めて,21年より公衆衛生の調査研究を行うようになった。その調査対象は主としてパリの多様な都市施設で,下水道,し尿投棄場,便所,廃馬処理場,解剖室河川,汚染源となる工場など,いずれも増大する人口を支えきれなくなった施設の実態と改善策を提出するものであった。その研究の特徴は,第1に実用性を強く意識して行われたこと,第2に実態の詳細な観察の結果を統計数字によって客観化しようとしたこと,第3に過去の資料を細かく検討したことにある。警視総監をはじめとするパリの管理者は,その支配に直ちに役立つこの研究に注目していたし,また,彼自身は自分の役割をパリ市当局者と住民との間の調停者と位置づけていた。主著《パリの売春について》2巻(1837)は,現在も貴重な文献として注目されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のパランデュシャトレの言及

【ニューヨーク・シティ・バレエ団】より

…カーステーンLincoln Kirstein(1907‐96)を総支配人とし,G.バランチンを芸術監督とするアメリカのバレエ団。現在の名称になったのは1948年からだが,クラシック・バレエをアメリカに根付かせるため,常設的なバレエ団の創設をカーステーンが考えて,1933年パリからバランチンを招いたのが始まりだった。…

【バレエ】より

… アメリカもまた,これといったバレエ団のない国であったが,1933年〈バレエ・リュッス・ド・モンテ・カルロ〉のアメリカ訪問以来,急激にバレエが盛んになった。ことにバランチンを主とするアメリカン・バレエ学校の設立(1934)によって,多くのアメリカ人の舞踊家を輩出するようになり,それは今日の〈ニューヨーク・シティ・バレエ団〉の母体となった。このバレエ団は,バランチンのストーリーのない〈抽象バレエ〉を多く上演しており,これは新しい時代の新しいバレエとして注目され,その影響は全世界に及んでいる。…

【バレエ・リュッス】より

… 演劇的内容の濃い作品を作ったマシンの退団,《眠れる森の美女》のロンドン長期公演(1921‐22)の失敗などによって足踏みをしたバレエ・リュッスは1923‐29年には第3黄金期を迎える。ニジンスカバランチンの2人の振付家を世に出し,のちにマシンが復帰して数多くの傑作を生み出した。上演作品は多様性を示し,ロシア・フォークロア的な《結婚》(1923),フランス上流社会を描いた《ブルー特急》(1924),社会主義ロシアを題材にした《鋼鉄の歩み》(1927),ギリシア神話からの引用《ミューズを導くアポロ》(1928)などである。…

【バレエ・リュッス・ド・モンテ・カルロ】より

…また,史上初めてという10代前半,またはそれに準ずる踊り手,T.トゥマーノワ,バロノワ,リャブーシンスカの3人をベビー・バレリーナとして主役に抜擢し,人気を博したことにある。演目はディアギレフの遺産を踏襲したほか,マシンのシンフォニック・バレエ《前兆》《コレアルティウム》(ともに1933),《幻想交響楽》(1936),《赤と黒》(1939),オッフェンバックの音楽による喜劇的な《パリのにぎわい(よろこび)》(1938),前衛的な《子供の遊戯》(1932),《バッカナール》(1939),バランチンのアブストラクト・バレエ《ダンス・コンセルタント》(1944),フォーキンの《愛の試練》(1936),《パガニーニ》(1939),ニジンスカの《百の接吻》(1935),一座の育てたリシンDavid Lichine(1910‐72)の《卒業舞踏会》(1940)などバレエ史に残る作品を多く初演した。しかし運営面では問題が多く,発足後まもなく創立者の一人ブルムが去り,38年からはマシンが主宰者となる。…

※「パランデュシャトレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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