コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

公衆衛生 こうしゅうえいせい public health

翻訳|public health

7件 の用語解説(公衆衛生の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

公衆衛生
こうしゅうえいせい
public health

地域社会,国など社会一般の人々の健康を保持,増進させるため,公私の機関によって行われる組織的な衛生活動をいう。 19世紀になって,L.パスツール,R.コッホらによって伝染病の原因が発見され,ワクチン,血清などによる免疫学的な予防,治療法が見出され,公衆衛生は初めて科学的,実験的に取組めるものとなった。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

こうしゅう‐えいせい〔‐ヱイセイ〕【公衆衛生】

地域社会の人々の健康の保持・増進をはかり、疾病を予防するため、公私の保健機関や諸組織によって行われる衛生活動。母子保健学校保健・老人保健・環境衛生生活習慣病対策・感染症予防など。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

公衆衛生【こうしゅうえいせい】

今日広く認められているウィンズローの定義によれば〈公衆衛生とは,組織された社会的努力を通じて,疾病を予防し,生命を延長し,身体的および精神的健康と能率を向上させようとする科学であり技術である〉。
→関連項目医師衛生学環境衛生社会医学

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

栄養・生化学辞典の解説

公衆衛生

 衛生に関する社会問題

出典|朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版の解説

こうしゅうえいせい【公衆衛生 public health】

公衆衛生の定義としてはアメリカのウィンスローC.Winslowのものが世界保健機関(WHO)によって認められ広く通用している。それによれば,公衆衛生とは〈環境衛生の改善,伝染病の予防,個人衛生の原理にもとづく衛生教育,疾病の早期診断と予防的治療のための医療および看護業務の組織化,さらに地域社会のすべての住民が健康を保持するにたる生活水準を保障するような社会機構の発展を目指して行われる地域社会の努力を通じて,疾病を予防し,生命を延長し,健康と人間的能率の増進をはかる科学であり,技術である〉と定義される。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

こうしゅうえいせい【公衆衛生】

広く地域社会の人々の疾病を予防し、健康を保持・増進させるため、公私の諸組織によって組織的になされる衛生活動。母子保健・学校保健・成人保健・環境衛生・産業衛生・食品衛生・疫学活動・人口問題などを対象とする。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

公衆衛生
こうしゅうえいせい

公衆衛生とは、人間が健康に生活できるための組織的社会活動をいう。「厚生福祉」「福利厚生」は行政レベルで、「国際保健」は国際的レベルで、「地域保健」は地域レベルで、そして「職域保健」は職場レベルで公衆衛生の社会活動を組織的に展開する制度である。[岡崎 勲]

世界の歴史

古く紀元前2100年ころの古代エジプトおよびインドの遺跡から、浴室、排水管、都市における石煉瓦(れんが)の排水溝が発見され、ローマ時代紀元前6世紀に地下大排水溝が、紀元前3世紀ころに上水道、病院が建設されている。病院・大学・公衆衛生制度の基盤がつくられたのは17世紀ころである。1700年にはイタリアのラマッツィーニB. Ramazzini(1633―1714)による『働く人々の病気』が出版されているが、18世紀後半から19世紀にかけては産業革命とそれに伴う人口の都市への集中から、結核、腸チフス、くる病、職業病が多発し、イギリスでは工場法が制定された。
 流行病(疫病)対策としての公衆衛生研究は、スノーJ. Snow(1813―84)が、コレラは水系感染であることを細菌学の勃興以前である1854年に証明したことに始まる。1873年にジェンナーによって行われた種痘は、100年を要して世界に普及し、1980年には世界保健機関(WHO)が天然痘の撲滅を宣言している。[岡崎 勲]

WHOの役割

WHOは1945年に設立され、その憲章のなかで、健康とは「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、常に疾病又は病弱の存在しないことではない」と定義している。WHOは世界三大感染症のエイズ(AIDS)、結核、マラリア対策に力を入れる一方、飢餓から子供を救う、また戦争で住む場所を失った難民の生活および健康を守る活動を、各国政府機関および非政府組織(NGO)と連携して行っている。さらに開発途上国にとどまらず工業先進国など世界中の人々の健康問題を討議し、麻薬、タバコ、飲酒禍など国際間の問題を扱っている。WHOは1978年アルマ・アタにて「西暦2000年までにすべての人々に健康を(Health for All by 2000)」の宣言を採択した。2002年、重症急性呼吸器症候群(SARS)がベトナム、中国から全世界に波及する事態に、WHOは史上初めて世界に向けて警報(global alert)を発するに及んだ。警報の一つとして「渡航延期勧告」を出し、各国政府および研究機関と連携した結果、2003年7月に集団感染の封じ込めを宣言した。また、新型インフルエンザの発生と流行という国際的脅威に対しても、WHOを中心に対策がとられている。[岡崎 勲]

日本での歴史

公衆衛生の範疇(はんちゅう)に入る活動として、6世紀、聖徳太子が日本初の医療機関である療病院を四天王寺に設立した。江戸時代には玉川上水の設置(1654)、貝原益軒の『養生訓』(1713)の出版、神田お玉ヶ池の種痘所の設置(1855)などがみられる。明治政府となってからは、東京大学医学部の開設(1877)に続き、諸外国の衛生行政組織を参考としながら伝染病予防法、海港検疫法、汚物掃除法、下水法が整備され、さらに内務省衛生局が発足し、これらを統括した。明治時代末期から大正時代にかけて結核が猛威を振るい、結核予防法が制定された(1919)。昭和に至り、富国強兵の観点から保健所法(1937)が制定され、1938年(昭和13)には内務省から厚生省が独立した。それまで感染症対策などは警察行政の一環として考えられていた向きがあったが、保健行政として独立したことの意義は大きい。さらに、第二次世界大戦後におけるアメリカの占領政策は、日本の厚生行政を大きく転換するものであった。敗戦後の混乱期にもかかわらず徹底した感染症対策がとられ、地域における国民栄養の向上、結核対策が保健所を中心に行われた。このときに保健所が公衆衛生に果たした役割は大きい。戦後の混乱と貧困はその後の朝鮮動乱期の産業の勃興でさま変わりし、好調な経済発展を背景に、国民皆保険制度が発足した(1961)。日本の母子保健事業は進捗し、出産に伴う母子の死亡率は世界でもっとも低くなった。また、日本は世界第1位の長寿国となったが、寝たきりなどのない、健康寿命を延命すべく国民運動として「健康日本21運動」が展開され、さらに健康増進法で個人の健康への責任が強調されてきた(2002)。飽食、運動不足などからメタボリック症候群や糖尿病の発症が国民の25%にみられるようになり、2008年(平成20)から厚生労働省は保険者に「特定健康診査・特定保健指導」を義務付けている。[岡崎 勲]

課題

かつての、急性感染症の蔓延(まんえん)から多数の死亡者が出た時代から、癌(がん)、心臓病、脳血管障害、糖尿病などの生活習慣病による慢性疾患対策の時代へと変化した。それら疾病の予防、個人の健康増進を目的とする地域、職域、学校などでの組織的活動はもちろん、環境問題、国際的テロに対する危機管理、国際的な災害救助活動、世界的な人的交流の活発化を背景にしたHIV・AIDS、高病原性トリインフルエンザ、結核、マラリアなどの感染症の対策、超高齢化社会における高齢者の健康・生活などの介護・支援、医療の高度化による人的・物的・経済的資源の不足、国民皆保険制度の実質的破産の状態、貧富の格差拡大による新たな社会的弱者の増加など、人々の生活と健康を守るための公衆衛生の課題は広がり、山積している。日本だけで解決できることもあれば、地球温暖化対策や、HIV・AIDS、デング熱、エボラ出血熱、西ナイル脳炎、高病原性トリインフルエンザなどの輸入感染症対策など、国際的に協調して解決すべき問題も多い。開発途上国で高い有病率の結核は、日本でも2005年の罹患率22.2(人口10万人)と、アメリカ4.7、イギリス13.7、フランス8.1などの欧米先進国より有病率、発生率が高く、過去の病気ではない(『国民衛生の動向』2007年、2008年 厚生統計協会)。
 いまや公衆衛生の問題は社会、政治、経済を抜きにしては論議できない。医療についてみてみると、精神科外来受診者数は、「傷病分類別にみた受療率」の表(『国民衛生の動向』2008年 厚生統計協会)で20項目中12位となっており、その数は年々増加する傾向にある。精神的苦痛が自殺者やうつ病の増加をもたらし、それに対して医師を含めた医療従事者のサービスは追いつかない状況にある。社会問題のしわよせが医療需要を押し上げることとなっている。
 女性の社会進出、自立および人々の価値観の多様化から晩婚化や少子化がみられ、社会構造だけでなく医療にも大きな変化がみられる。高齢出産はより多くの人的・物的・経済的資源を必要とし、数少ない子供の養育も、核家族で孤立した母親に過剰な精神的負担を強い、思いもかけない児童虐待などの増加をきたしている側面もある。日中共働きする核家族では、夜間に小児救急外来を受診する事例が多い。また、人工妊娠、移植、遺伝子治療、再生医学の進歩などから高度医療はますます社会のニーズに対応して発展している。一方、どこまでが公衆衛生の問題で、どこからが個人にゆだねられるべきかの線引きも難しく、公衆衛生の倫理的問題が重視されてきている。日本国憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」として国民の生存権、および国民の権利としての健康を謳(うた)っており、公衆衛生が国民の生存権に必須の要件であることを宣言している。翻って、国民皆保険制度のなかで保険証をもっていない人が少なくとも500万人以上いるという現状がある。また、世界第1位の長寿国となったが、超高齢者の生活と健康をどう支え介護していくのか、国民の負担とあわせて議論されるなど、尊厳ある人間としての生命の質を見直す時期に来ている。こうした問題の解決と実践が公衆衛生の課題である。[岡崎 勲]
『岡崎勲・豊嶋英明・小林廉毅(編)『標準公衆衛生・社会医学』(2008・医学書院) ▽厚生統計協会編・刊『国民衛生の動向2008』 ▽P. Basch :Textbook of International Health(1999, Oxford University Press)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

公衆衛生の関連キーワード国立公衆衛生院アメリカ凌霄花日本公衆衛生協会アメリカの影ウィンディ公衆衛生栄養士公衆衛生学商業的無菌アメリカのハロウィン勝沼晴雄

今日のキーワード

トランスアジア航空

台湾・台北市に本拠を置く航空会社。中国語名は復興航空。1951年、台湾初の民間航空会社として設立。83年に台湾の国産実業グループに経営移管され、組織改編を実施した。92年に国際チャーター便の運航を始め...

続きを読む

コトバンク for iPhone

公衆衛生の関連情報