ヒイロタケ(英語表記)Pycnoporus coccineus (Fr.) Karst.

改訂新版 世界大百科事典 「ヒイロタケ」の意味・わかりやすい解説

ヒイロタケ (緋色茸)
Pycnoporus coccineus (Fr.) Karst.

枯木や土木用材に生ずる深紅,コルク質の担子菌類サルノコシカケ科のキノコアジアの大陸部や東南アジアオーストラリアに分布し,材の白腐れを起こす。大きさは10cmに及ぶ。高温(30~35℃)と日当りのよい所を好む。培養菌糸は最初白色であるが,のち緋色となり,分生子を多量に生ずる。ヨーロッパ,北アメリカ北部,日本の温帯林にはごく近似のシュタケが分布するが,性因子検定を行い同定する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒイロタケ」の意味・わかりやすい解説

ヒイロタケ
ひいろたけ / 緋色茸
[学] Pycnoporus coccineus (Fr.) Bond. et Sing.

担子菌類、サルノコシカケ目サルノコシカケ科のキノコ。傘は半円形で柄はなく、枯れ木から棚状に張り出し、しばしば幾段にも重なり合って生える。幅5~10センチメートル、厚さ5~6ミリメートル。全体に鮮やかな朱紅色をもち、硬いコルク質。傘の裏面には微細な管孔(くだあな)がある。きわめて普通にみられる広葉樹生の木材腐朽菌である。これに酷似するものにシュタケP. cinnabarinus (Fr.) Karstがある。ヒイロタケはアジアの熱帯系のキノコであるため、日本では平地部に多いが、シュタケは北方系のキノコのため、山岳地帯に多く、ヒイロタケと比べると傘はより厚く、管孔はほぼ倍の大きさとなる。

[今関六也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒイロタケ」の意味・わかりやすい解説

ヒイロタケ(緋色茸)
ヒイロタケ
Trametes sanguinea

担子菌類ヒダナシタケ目サルノコシカケ科。広葉樹の枯れ枝などにつく。傘は柄を欠き半円形ないし扇形をしており,直径3~10cm。革質またはコルク質で肉が薄く,厚さは3~5mmほどである。色は鮮かな緋色でシュタケに似ている。この菌は熱帯系のもので,熱帯から温帯にかけて広く分布する。有用木材に白腐れを起す有害菌である。

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