ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒオドン科」の意味・わかりやすい解説 ヒオドン科ヒオドンかHiodontidae; mooneyes オステオグロッサム(アロワナ)亜区ヒオドン目ヒオドン科の魚の総称。原始的な形態をもつ魚類の一群である。北アメリカ産の淡水魚で,体長 50cmほどになる。体はやや延長し,側扁する。臀鰭は発達しているが,アロワナほど長くは発達していない。現生種は 1属(Hiodon)2種であるが,化石は,Eohiodon属(Eohiodon属は Hiodon属に帰属させるべきであるという意見もある),Yanbiania属,Plesiolycoptera属,さらに Hiodon属の化石種が知られている。今日知られているヒオドン科魚類のなかで最も古い化石は中国の前期白亜紀の地層から産出した Yanbiania wangqingica とされている。後期白亜紀の地層からは Plesiolycoptera daqingensis が中国から知られており,北アメリカからでもヒオドン科と考えられる化石が報告されている。また,新生代では,モンゴルの古第三紀暁新世と始新世の地層,カザフスタンの始新世と漸新世の地層から Plesiolycoptera属と考えられる化石が知られている。一方,北アメリカでは,おもに始新世の地層から Eohiodon属や,Hiodon constenionun などの Hiodon属の化石種も産出している。さらに,第四紀更新世の地層からもヒオドン属の現生種と考えられる化石が報告されている。ヒオドンの仲間は化石も含めると東アジアから北アメリカまで分布していたことが知られており,生物地理学的に非常に興味深い魚である。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by