翻訳|Pleistocene
地質時代の区分の一つ。地質時代第四紀は更新世と完新世に二分される。更新世は約258万年前から1万1700年前までの時代で、第四紀の大部分を占める。2008年、国際地質科学連合(IUGS)はグリーンランドの氷床コア(氷床を掘削して採取した円柱試料)における、ヤンガー・ドリアス期(最終氷期から現在の温暖期へ移行するまでの間の一時的に気候が寒冷化した時期)が終わって温暖になり始める時期をもって更新世と完新世の境界とした。もともとは、イギリスの地質学者ライエルが1839年に、軟体動物化石群に現生種が90%以上含まれる地層を更新統と命名し、更新統の堆積(たいせき)した期間が更新世であるとされていた。日本では洪積世も更新世と同じ意味で使われることがあるが、洪積層は洪水による堆積物を意味し、元来、北欧の氷河堆積物をこうよんだことに発しており、現在洪積世の呼称は国際的には使用されていない。なお、更新世の気候、生物などについては別項「第四紀」を参照されたい。
[矢島道子 2015年8月19日]
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洪積世・最新世とも。第四紀を二分した前期の地質時代で,約200万年前から完新世の始まる1万年前までの時代。その始まりは,古地磁気編年上のオルドバイイベント(179万~164万年前)をはじめ,氷河,人類,哺乳動物,海生貝化石群,海生動物群集などを基準にさまざまな定義のされ方がある。地磁気が変化した約78万年前と約13万年前の最終間氷期最盛期とを境に,前期・中期・後期に3区分される。氷河時代・人類紀などとよばれ,氷期・間氷期のくり返しと人類の活動に特徴づけられる。考古学上では旧石器時代全体と縄文時代のごく初期に相当する。
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最新世あるいは洪積世ともいう。地質年代区分の名称の一つ。新世代最後の世(せい)で,180万年前ぐらいから約1万年前までの期間をさす。更新世は人類の発生した時代であり,また,地球が幾度となく氷河に覆われたときでもある。気候の変化により,植物も動物もともに,激烈な寒さに耐えうる種類が優勢になった。中国の黄土,日本の火山灰による赤土などもこの時期の所産であり,北海道の日高山脈や日本アルプスの氷河は著名である。
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…地質時代区分の一つ。更新世(最新世ともいう)Pleistoceneと同義である。新生代は,哺乳類時代とよばれ,第三紀と第四紀に区分されるが,両紀の境界は,人類および現在型の哺乳類が現れ,温暖な気候が寒冷化して氷河が発達し始めた時期においており,第四紀は,人類時代とも氷河時代ともよばれる。…
…新生代の第三紀の後につづく紀で,地質時代の最後の紀である。第四紀はさらに氷河時代の更新世(洪積世)と後氷期の完新世(沖積世)に区分され,全体が約200万年前から現在までを含む時代である。なお,慣用的に〈だいよんき〉と読まれるが,正しくは〈だいしき〉と読む。…
※「更新世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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