ヒメコマツ(読み)ヒメコマツ(その他表記)Pinus parviflora

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒメコマツ」の意味・わかりやすい解説

ヒメコマツ(姫小松)
ヒメコマツ
Pinus parviflora

マツ科の常緑高木。日本各地の山地に多い。幹は直立し 30m,径 1mあまりになる。老木樹皮が不定形の小鱗片となってはげ落ちる。枝は水平に張出す。葉は長さ3~6cmの針葉が5本ずつ束生し,断面は三角形で樹脂道が2本縦走している。球果は長卵形,長さ5~6.5cm,径3~4cmで先端は鈍形。種子をつける鱗片は厚く,丸みのある楔形で,1球果に 17~18片あり,種子はその本体より短い翼をつけている。日本の中部以北には本種の変種とされるキタゴヨウマツ P.parviflora var. pentaphyllaが分布し,ヒメコマツに比べて樹皮の鱗片が大きく,種子の翼が種子の長さよりもやや長い点などで区別される。通常ゴヨウマツ (五葉松) と呼んで庭木盆栽とされるのはこのヒメコマツのことであるが,広義には5枚の針葉を束生する数種の総称でもあり,キタゴヨウマツが本来ゴヨウマツと呼ばれたものだともいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヒメコマツの言及

【ゴヨウマツ(五葉松)】より

…本州中部以南のものは概して葉が細く球果も小型でまるく冬芽の先がとがっている。このマルミゴヨウに対して対照的な性質を示す北方型を,変種キタゴヨウまたはヒメコマツ(姫小松)var.pentaphylla Henryとして区別し,別種にすることもある。材は淡黄赤色,緻密(ちみつ)で木目が通り軟らかい。…

※「ヒメコマツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android