改訂新版 世界大百科事典 「ヒメモノアラガイ」の意味・わかりやすい解説
ヒメモノアラガイ (姫物洗貝)
Austropeplea ollula
淡水産のモノアラガイ科の巻貝。殻の高さおよそ1cm,幅0.7cm。卵形で薄質半透明。殻表は黄褐色で光沢があるが,灰褐色に汚れていることもある。体層は大きく円みがある。殻口は卵形で,外縁は薄くて円く湾曲する。軟体は暗灰黒色で頭には三角形状の触角があり,その基部に眼がある。北海道から沖縄まで全国に分布し,田や沼また人家近くの溝に多い。中国や朝鮮半島などにも分布する。ウシやヒツジなどに寄生するカンテツ(肝蛭)の中間宿主である。コシタカモノアラガイFossaria truncatula(英名dwarf pond snail)はこの種に似るが少し小型で,螺塔(らとう)の高い長卵形。ヨーロッパ,アジア北部に分布するが,近年日本にも侵入している。カンテツの中間宿主となる。
執筆者:波部 忠重
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報