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肝蛭 かんてつFasciola hepatica; liver fluke

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肝蛭
かんてつ
Fasciola hepatica; liver fluke

扁形動物吸虫綱二生目肝蛭科の寄生虫。体長2~3cm,体幅 0.8~1.3cm。体は樹葉状で,前端がやや突き出る。腸管,精巣,卵巣,卵黄巣は樹枝状に分岐している。ほとんど世界的に分布し,ウシ,ヒツジ,ヤギなどの反芻動物の胆管に寄生するが,まれにブタ,ヒトなどにも寄生する。中間宿主ヒメモノアラガイサカマキガイなどの淡水産巻貝類で,それらからケルカリア (幼生) として水中に泳ぎ出し,水草などに付着して被嚢し,終宿主に食べられるのを待つ。多数寄生すると肝臓障害,下痢,貧血などを引起し,衰弱死することもある。家畜にとっても重要な寄生虫病の一つである。

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デジタル大辞泉の解説

かん‐てつ【肝×蛭】

吸虫の一種。体長2~3センチ、体は平たい楕円形で、前端が円錐形に突出している。虫卵は水中で孵化(ふか)し、中間宿主のヒメモノアラガイに侵入。成長すると水草に付着し、これを食べた牛・羊・豚・馬などの胆管に至って成虫となる。人間にも寄生し、腹痛・嘔吐や黄疸(おうだん)などの症状を呈する。

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大辞林 第三版の解説

かんてつ【肝蛭】

扁形動物吸虫綱の寄生虫。体は木の葉状で、体長2~3センチメートル、幅1センチメートル 内外。卵は水中で孵化し、ヒメモノアラガイの体内で変態・増殖して水中に戻る。草などに付着して被囊幼虫となり、草とともに草食動物に食われると肝臓・胆管に寄生して成虫となる。家畜に被害を与え、まれに人間にも寄生する。世界各地に分布。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肝蛭
かんてつ
liver fluke
[学]Fasciola hepatica

扁形(へんけい)動物門吸虫綱二生(にせい)亜綱肝蛭科に属する寄生虫。ほとんど全世界に分布する。ウシ、ヒツジ、ヤギなどの反芻(はんすう)動物の胆管に寄生するが、ブタ、ウマ、ヒトに寄生することもある。虫体は木の葉形で扁平、長さ2~5センチメートル、幅0.5~1.3センチメートル、腸管、精巣、卵巣、卵黄腺(せん)は樹枝状に分岐している。
 卵は糞便(ふんべん)とともに外界に排出され、水中でミラシジウムとよばれる幼虫が孵化(ふか)して、中間宿主のヒメモノアラガイに侵入する。この貝の体内でスポロシスト、レジア、セルカリアと発育するが、この間にいわゆる幼生生殖を行い、1個のミラシジウムから100~500個のセルカリアができる。セルカリアは貝から遊出し、水草などに付着して袋に包まれメタセルカリアとなる。このようなメタセルカリアが固有宿主のウシなどに食べられると、メタセルカリアは宿主の小腸内で袋から出、腸壁を通って腹腔(ふくこう)に入り、肝表面から胆管に到達して成虫となる。成虫は大形なので、多数寄生すれば周囲の宿主組織に傷害を与え、有毒分泌物により、肝臓障害、下痢、貧血などをおこして衰弱死することもあり、ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜にとっては重要な寄生虫病である。[町田昌昭]

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