改訂新版 世界大百科事典 「ヒヤデス星団」の意味・わかりやすい解説
ヒヤデス星団 (ヒヤデスせいだん)
Hyades star cluster
おうし座のα星アルデバランの周辺に広がる散開星団。ギリシア神話ではアトラスとオケアノスの娘の一人との間に生まれた娘たちヒュアデスとされている。100個程度の星々が,5度あまりの範囲に散らばっているので,注意して見ないと星団には見えない。太陽にもっとも近い星団で,140光年の距離にある。通常の星の場合,距離が遠いと年周視差を求めることができない。ヒヤデス星団の場合,星団の星々がグループとして,空間を一定に動いて見える運動星団であるので距離を決めることができた。その結果,この星団のヘルツシュプルング=ラッセル図を使って,他の星団や銀河の距離を決めることができるようになった。そして,この星団が宇宙の広がりを決める基礎となる重要なものになっている。星団の中でもっとも明るい星は3等星で,アルデバランはこの星団に属さない。
執筆者:磯部 琇三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報