ヒヤデス星団(読み)ヒヤデスせいだん(英語表記)Hyades star cluster

改訂新版 世界大百科事典 「ヒヤデス星団」の意味・わかりやすい解説

ヒヤデス星団 (ヒヤデスせいだん)
Hyades star cluster

おうし座のα星アルデバランの周辺に広がる散開星団ギリシア神話ではアトラスオケアノスの娘の一人との間に生まれた娘たちヒュアデスとされている。100個程度の星々が,5度あまりの範囲に散らばっているので,注意して見ないと星団には見えない。太陽にもっとも近い星団で,140光年の距離にある。通常の星の場合,距離が遠いと年周視差を求めることができない。ヒヤデス星団の場合,星団の星々がグループとして,空間を一定に動いて見える運動星団であるので距離を決めることができた。その結果,この星団のヘルツシュプルング=ラッセル図を使って,他の星団や銀河の距離を決めることができるようになった。そして,この星団が宇宙の広がりを決める基礎となる重要なものになっている。星団の中でもっとも明るい星は3等星で,アルデバランはこの星団に属さない。
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百科事典マイペディア 「ヒヤデス星団」の意味・わかりやすい解説

ヒヤデス星団【ヒヤデスせいだん】

おうし座にあるV字形散開星団。約100個の恒星が集まり,距離140光年。名はギリシア神話のヒュアデスにちなむ。

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世界大百科事典(旧版)内のヒヤデス星団の言及

【おうし座(牡牛座)】より

…黄道星座の一つ。V字形のヒヤデス星団が牛の顔,数個の星の集りに見えるプレヤデス星団が牛の肩になる。ギリシア神話では,大神ゼウスがフェニキアの王女エウロペのもとに通う時の化身の姿であるという。…

【星団】より


[散開星団]
 数百の恒星が雑然と集まっているのが散開星団で,天の川に多く分布し,散光星雲を伴っていることが多い。おうし座のヒヤデス星団は130光年という近距離にあるので,宇宙の距離尺度をきめる標準光源としてこの星団の恒星が用いられている。ヒヤデス星団の明るい恒星は3.5等から4等の赤色巨星で,年齢約10億年と老齢なので大質量星はすでに進化して寿命を終わり赤色巨星と赤く暗い主系列星が残っている。…

※「ヒヤデス星団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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