日本大百科全書(ニッポニカ) 「オケアノス」の意味・わかりやすい解説
オケアノス
おけあのす
Ōkeanos
ギリシア神話の水の神。天空神ウラノスと大地の女神ガイアの子で、ティタン神族の一人。オケアノスは、平板な円形の大地を取り巻いて流れる大河または大洋と考えられ、地下を通じて世界のすべての河川や泉とつながっていた。つまり、オケアノスは地の果てであり、ヘスペリデスの園、エリシオンの野、怪物ゲリオン、怪女ゴルゴンなど、不思議な場所や生き物はすべてこの大河の岸辺に置かれているとされていた。しかし、やがて古代人の地理的知識が進歩すると、オケアノスの名はしだいに大西洋のみをさすようになった。オケアノスはテテュスを妻として、すべての河川と3000人の娘たち(オケアニデス)をもうけた。
[小川正広]