改訂新版 世界大百科事典 の解説
ビットリーノ・ダ・フェルトレ
Vittorino da Feltre
生没年:1378-1446
イタリアの人文主義教育者。北イタリアに生まれた。当時ペトラルカの影響が残存しフィレンツェに次ぐ古典研究の中心であったパドバに赴き,1396年にパドバ大学に入学し,人文主義者のベルジェリオやバルツィッザなどから教養諸学を学び,学位取得後は私的に文法と数学を教えた。1415年にはベネチアでグアリーノ・ダ・ベローナとも厚誼を結んだ。22年パドバ大学修辞学教授に就任。翌年,職を辞してベネチアで学校を開設したが,ゴンザーガ家の招聘によってマントバに〈喜びの家Giocosa〉と呼ばれる寄宿学校を開き,没するまで同地にとどまった。この学校は,君主や貴族のみならず庶民の子弟にも開かれて,キリスト教と古典教育との調和を知育・徳育・体育の一体化の中に図ることを目的とし,ルネサンス人文主義を教育に具体化した学校として名高い。高潔な教育者として慕われた彼は,グアリーノと同様ほとんど著作を残さなかったが,多数の弟子を通じて後のヨーロッパの中等教育に多大の影響を与えた。
執筆者:児玉 善仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報