日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビノクール」の意味・わかりやすい解説
ビノクール
びのくーる
Григорий Осипович Винокур/Grigoriy Osipovich Vinokur
(1896―1947)
ソ連の言語学者、文学研究者。1920年前後はモスクワ言語学サークルやモスクワ方言学委員会の主要メンバーとして活躍。ロシア・フォルマリズム運動にかかわり、『レフ』(左翼芸術戦線)誌にも一連の論文を発表している。のちにモスクワ大学その他の大学の教授を務めた。言語文化、ロシア語史、テキストロジー、詩的言語論のほか、プーシキン、グリボエードフ、マヤコフスキーの言語、文体に関する著作も残している。またウシャコフDmitry Ushakov(1873―1942)編『ロシア語詳解辞典』や、『プーシキン辞典』の編纂(へんさん)にもかかわっている。おもな著作に『言語文化』(第2版・1929)、『マヤコフスキー――言語の革新者』(1943)、『ロシア語――歴史概説』(1945)がある。
[桑野 隆 2018年7月20日]