日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリボエードフ」の意味・わかりやすい解説
グリボエードフ
ぐりぼえーどふ
Александр Сергеевич Грибоедов/Aleksandr Sergeevich Griboedov
(1795―1829)
ロシアの劇作家、外交官。名門貴族出の神童としてモスクワ大学の諸学部に学び、多くの外国語と音楽に堪能(たんのう)な最高の知識人。1812年のナポレオン侵入による祖国戦争時代には軍務についたが、退役後外務省に入り、18年在ペルシア(イラン)公使館、22年以後カフカスのロシア軍司令部付外交官として勤務。ペテルブルグ時代のルイレーエフら革新的な青年士官たちとの交友関係からデカブリストの乱に関与した疑いで逮捕されたが、証拠不十分で釈放された。28年駐ペルシア特派大使となったが、ロシアの拡張政策に反対する暴徒の襲撃にあい殺害された。文学作品として、翻案の処女作『若い夫婦』(1814)ほか、数編の喜劇と名作『知恵の悲しみ』(1824)がある。
[野崎韶夫]