びまん性星細胞腫(読み)びまんせいせいさいぼうしゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「びまん性星細胞腫」の意味・わかりやすい解説

びまん性星細胞腫
びまんせいせいさいぼうしゅ

神経膠腫(こうしゅ)の一種。脳や脊髄(せきずい)に高頻度に発生する神経膠腫のなかでもっとも多くみられる腫瘍(しゅよう)である。成人では大脳半球の表面付近に発生することが多く、小児では小脳に高頻度に発生し嚢胞(のうほう)性のものが多い。脳腫瘍はグレードで種別するが、グレード1は良性のものが多く、グレード2~4は未分化悪性であり、びまん性星細胞腫はグレード2に属する。「びまん性」とは、腫瘍細胞が明確な境界を示さずに組織に広がっている状態をいう。徐々に脳に浸潤する特徴があり、ときに悪化することがある。症状としてはてんかん発作がもっとも多いが、言語障害や四肢麻痺(まひ)が発症する場合もあり、行動異常や人格変容を伴うこともある。治療として摘出を行うが、放射線治療の有効性については確認されていない。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例