日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビレンキ」の意味・わかりやすい解説
ビレンキ
びれんき
Romano Bilenchi
(1909―1989)
イタリアの作家。早くから創作に手を染め、学友であったM・マッカリ主宰の雑誌『セルバッジョ』Selvaggioに作品を掲載した。フィレンツェでとくにビットリーニと親交を深め、ファシスト左派の立場にたったが、やがて批判を強め、全国ファシスト党から除名される。ジャーナリズムに従事するかたわら、『アンナとブルーノ』(1938)、『サンタ・テレーザ音楽院』(初版1940、改訂版1973)、『干魃(かんばつ)』(1941)などの秀作を発表、早逝した作家F・トッツィの後を継ぐ若手の第一人者と目される。第二次世界大戦末期、レジスタンスに挺身(ていしん)したのち、戦後の新しい文化創造のために左翼系の新聞編集に打ち込み、作家活動から遠ざかった。長いブランクを挟んで1972年に『ロザイの沈黙』および『スターリングラードのボタン』の発表をもって復帰し、近作に『凍え』(1982)、評論集『暗黒の歳月のクロニクル』(1984)がある。
[古賀弘人]