改訂新版 世界大百科事典 「ビンツロング」の意味・わかりやすい解説
ビンツロング
binturong
Arctictis binturong
ビントロング,クマネコともいう。マレー語で“クマネコ”の意味をもつ食肉目ジャコウネコ科の哺乳類。ミャンマー,インドシナ,マレー半島,スマトラ,ジャワ,ボルネオ,パラワンに分布。体長61~97cm,尾長56~89cm,体重9~14kg。体つきはクマに似るが長い尾をもち,全身長毛でおおわれる。尾は物に巻きつけることができる。体毛は黒色だが,毛の先端のみ赤色か白色で,全体として灰色,黄褐色などさまざまに見える。熱帯雨林にふつう単独ですみ,樹上生である。樹上を行動するときは尾を枝に巻きつけたりして,体を支持する。動きはのろく,枝から枝へジャンプすることはないが,水へとびこむとよく泳ぎ,魚をとらえるという。主として夜行性で,鳥,死肉,果実,葉,芽などを食べ,日中は樹洞で休み,尾を体に巻きつけて眠る。妊娠期間は84~99日で,1産1~6子,平均2子。1~3月に出産が多いという。寿命は飼育下で22年8ヵ月の記録がある。
→ジャコウネコ
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報