改訂新版 世界大百科事典 「ビーグル種」の意味・わかりやすい解説
ビーグル[種]
beagle
原産地がイギリスのウサギ猟専門の猟犬である。起源は不明だが6世紀のころ,ウェールズの王室でかわいがられていた純白の小型のハウンドから出発しているといわれる。ヘンリー3世やエリザベス女王(1世)時代には馬の鞍籠に入れられて猟野に運ばれ,そこで10~20頭が放たれてウサギを囲むように追い出したと伝えられる。現在のようなビーグルが確立されたのは19世紀で,猟野ではよく響くほえ声をあげながらウサギを追うところから,〈シンギング・ビーグルsinging beagle〉と愛称されている。体高約25cmと約37cmの二つのタイプがあり,前者は体重8~12kg,後者は15~18kg。性格が穏和,朗らかで人によくなれ,被毛は短く滑らかで,毛色は白地に黒と茶の3色が多く,白地に茶の斑もある。かれんで愛くるしく,家庭犬としても広く飼育されている。また短毛で上述の体格と性格,均一で健康な体質から,現在では医学,獣医学,薬学などの研究に,世界共通の実験動物として,人類社会に重要な役割を果たしている。
執筆者:一木 彦三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報