改訂新版 世界大百科事典 「ビーベルバハ」の意味・わかりやすい解説
ビーベルバハ
Ludwig Bieberbach
生没年:1886-1980
ドイツの数学者。ヘッセン州の小村ゴッデラウに生まれ,フランクフルト大学を経て,ベルリン大学において,主として複素関数論の分野で業績をあげた。主著《関数論教科書》全2巻(1930)は,刊行当時からこの分野の名著として,ひろく貢献し続けている。これと関連して,関数論の観点からみた常微分方程式についての著書もある。ナチスへの協力のかどで,戦後は学界から退けられた。後半生の消息はつまびらかでない。
円内単葉関数について,面積定理にもとづく古典的な理論を創始し,歪曲定理の定量化をはかった。これと関連して1916年に提出した展開係数の評価に関する推測は,ビーベルバハの予想として長らくこの分野で話題となっていた。いろいろな人たちの部分的な結果を経たあと,84年に至りド・ブランジュLouis de Brangesによって,ようやくこの予想の完全な肯定的解決に達した。
執筆者:小松 勇作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報