改訂新版 世界大百科事典 「ファッブリ」の意味・わかりやすい解説
ファッブリ
Diego Fabbri
生没年:1911-80
イタリアの劇作家。ボローニャ南東のフォルリの生れ。ボローニャの大学で法律を学んだのち,カトリックの出版社を経て,1940年ローマのカトリック・フィルム・センターの総支配人に就任した。幼時から演劇に親しみ,すでに大学卒業の1935年には厭世(えんせい)主義的な戯曲《結び》(1936)を書いたが,ファシスト政府により上演を禁じられた。第2次世界大戦中は,カトリック教徒としてファシズムに反対する立場をとり,戦争が終結に向かう頃から,次々に力のこもった戯曲を世に問うた。代表的な作品に《キリストの審判》(1955初演),《無名氏の肖像》(1962初演),《未知の神》(1980初演)などがある。彼の作品には現代人の不安な意識状況が鋭く映し出されており,根強い観客を獲得している。
執筆者:室田 宣一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報