ファンスコレル(その他表記)Jan van Scorel

改訂新版 世界大百科事典 「ファンスコレル」の意味・わかりやすい解説

ファン・スコレル
Jan van Scorel
生没年:1495-1562

オランダの画家。アルクマール近郊スホールルSchoorlに生まれ,ハールレムでバイスC.Buys,アムステルダムでファン・オーストザーネンJ.C.van Oostsanenに師事ユトレヒトでホッサールトに接触したのちイタリア旅行に出発。ベネチア滞在中の1521年,聖地巡礼団に加わってエルサレムに赴く。翌年ローマでオランダ人教皇ハドリアヌス6世からバチカンの美術収集の監督者に任命される。教皇の死後ユトレヒトに移り,聖職者としても重職を務めながら精力的な制作活動を続けた。初期ロマニストの代表的存在で,ラファエロ,ミケランジェロの芸術の北方への伝播に大きな役割を果たした。弟子にファン・ヘームスケルク,モル・ファン・ダスホルストなどがいる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のファンスコレルの言及

【オランダ美術】より

…そうした中にあってファン・レイデンはデューラーの影響をみごとに消化しつつ精緻な技巧を駆使して線刻銅版画の分野で大きな成果をあげた。真の意味でのルネサンスは,オランダ人教皇ハドリアヌス6世の下でバチカンの美術管理にあたったファン・スコレルの帰国(1524)とともに到来したといってよい。こののち同じようにイタリア,特にローマに遊学して古代とルネサンスの成果を吸収しようとした〈ロマニスト〉と呼ばれる画家たちが続出するが,一般的に言って彼らを中心とする16世紀のオランダ美術はイタリアの理想性とネーデルラント本来の写実性のいずれをも十分に発揮できず,両者の統合という重要な課題は達成できなかった。…

※「ファンスコレル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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