改訂新版 世界大百科事典 「ファンデルヘイデン」の意味・わかりやすい解説
ファン・デル・ヘイデン
Jan van der Heyden
生没年:1637-1712
オランダの街景,建築画家。ホルクムに生まれ,幼少のうちにアムステルダムに移住してガラス絵師から画業を学ぶ。〈街景画〉の最初の専門画家として,アムステルダムをはじめとするオランダ,北西ドイツ各都市や架空の幻想的都市の景観を描く。同時代人から〈建築の煉瓦の間のしっくいが見えるほどだ〉と評されるほど精緻で,光の微妙な明暗の描写にも優れるが,必ずしもつねに実景に忠実なわけではなく現実のモティーフに基づきつつもしばしば合成や改変がなされている。博学多才の人で,街路灯の改良と消火ホースの発明によっても名を成し,アムステルダム市の消防長官の地位についた。晩年は一連の百科全書的静物画を制作。
執筆者:高橋 達史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報