街路灯(読み)がいろとう(英語表記)luminaires for street lighting

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

街路灯
がいろとう
luminaires for street lighting

道路交通の安全性と快適性を向上させるために、街路に沿って設備される照明器具。広く道路照明器具に含まれるもので、市街地主要道路、商業地区道路、住宅地区道路、公園内遊歩道などに用いられる。高速道路や主要道路には、プリズム入りのガラスグローブ(グローブは光を散乱するために光源を覆う装置)のついたハイウェー形の道路が用いられる。これは運転者にまぶしさを与えないように配光規制され、道路面を均一に照明するよう配置される。
 商業地区、住宅地区、公園などに用いられるものには、ポール頂部にガラスまたは樹脂製のグローブ付きの光源を置くポールヘッド形、ポール頂部に腕を出し光源を取り付けるブラケット形などがある。これらは街路灯とよばれてデザインも重視され街路の美観に役だつように期待されている。公園などでは単独あるいは太陽電池と一体になった街路灯が設備され、防犯や美化に役だつ。太陽電池と一体になった街路灯は照明の省エネルギーおよびその啓蒙(けいもう)に役だっている。また、周囲の明るさによって作動するフォトスイッチ(自動点滅器)を取り付け、夕方はほぼ150ルクスになると自動的に点灯し、朝はほぼ300ルクスになると自動的に消灯するものなどが使われている。
 1990年代末から光害(ひかりがい)防止のために上空に光が漏れないように、厳しく配光制御されているものが多い。使用される光源は、水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、コンパクト形蛍光ランプなどであるが、2007年(平成19)ごろから白色LED(Light Emitting Diode=発光ダイオードの略)を使用した街路灯が施設されだした。白色LEDの特長は、従来の光源に比べて省エネルギーで長寿命な点である。また、紫外線が少ないので虫が寄りにくいといわれる。
 日本における道路の明かりには、古くは江戸時代の辻行灯(つじあんどん)(1750年ごろ)がある。街路灯の最初のものは、1870年(明治3)大阪の高麗橋(こうらいばし)で点火された石油灯であるといわれる。続いて、1872年に横浜(現在の横浜市中区大江橋から馬車道を経て本町通りにかけて)にガス街路灯が初点灯され、明るい照明として喜ばれた。ガス街路灯は、1877年ごろまでには主要都市に普及していった。つかのまで、これは電気照明にとってかわられたが、19世紀におけるガス灯の普及は生活に大きな変化を与えた。1882年には東京・銀座でアーク灯が点灯された。電球による初めての街路灯は1887年の東京江戸橋郵便局付近であった。しかし、本格的な街路灯の普及は1923年(大正12)の関東大震災後で昭和に入ってからである。[高橋貞雄]
『関重広「明治・大正・昭和(終戦までの)照明工学の歩み」(『照明学会誌』第51巻8号pp.480~493. 1967・照明学会) ▽照明普及会創立30周年記念出版委員会編『あかり文化と技術』(1988・照明学会照明普及会) ▽横浜開港資料館編・刊『横浜もののはじめ考』第3版(2010)』

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