改訂新版 世界大百科事典 「ファンマンデル」の意味・わかりやすい解説
ファン・マンデル
Carel van Mander
生没年:1548-1606
オランダの画家,詩人,芸術理論家。南ネーデルラントの出身。1573年よりイタリアに滞在,次いでスプランヘルと親交を結びウィーンで協業したのち,1583年ハールレムに移住。版画家ホルツィウス,画家コルネリスゾーンC.Cornelisz.とともに〈ハールレムのマニエリスト〉の中心的存在となったが,彼の長所は実制作よりもむしろ理論面に存している。5部から成る《画家の書》(1604)が代表作で,とくにその第3部〈ネーデルラントおよびドイツ著名画家列伝〉は最初の北方画派の伝記資料として,イタリア画派に関するバザーリの《芸術家列伝》に匹敵する。韻文の序〈高貴で自由なる絵画芸術の根底〉もまた,北方のマニエリストによる包括的な美術理論として重要である。
執筆者:高橋 達史
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