改訂新版 世界大百科事典 「ファンリンスホーテン」の意味・わかりやすい解説
ファン・リンスホーテン
Jan Huyghen van Linschoten
生没年:1563ころ-1611
オランダの航海者。オランダ人として最初の東洋事情紹介者となる。若いときスペインに渡り,1583年にインドのゴアに着き,大司教に仕えて約5年同地に滞在した。92年に帰国し,各地での豊富な見聞を《東方すなわちポルトガル領インド水路誌》(邦訳《東方案内記》)などに記して95-96年に出版した。1595年にオランダを出帆し,東インドに向かったハウトマンの船隊は少なくともこの書物の一部を知っていたと思われる。それ以後の航海者はこの書物を重要な指針とし,航海記を書く際の手本とした。彼は当時有力だった北極海経由の東洋到達計画にも興味を示し,1594-95年にはその第2回航海に参加して旅行記を著した。晩年は港町エンクハイゼンに住み,町の運営に参加し,著述や翻訳に専念するかたわら,西インド会社設立計画にも加わった。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報