化学辞典 第2版 「フィーザー」の解説
フィーザー
フィーザー
Fieser, Louis Frederick
アメリカの有機化学者.1920年ウィリアムス大学を卒業後,ハーバード大学のJ.B.Conant教授のもとで有機化学を学び,1924年キノン類の研究で学位を取得.フランクフルト,オックスフォード大学に留学した後,1930年ハーバード大学助教授,1937年同大学教授となる.化学研究の中心がドイツからしだいにアメリカに移る時代の先駆的役割を果たす.有機化学上の貢献は幅広く,芳香族化学,酸化還元反応,キノン類,がんとその治療,ステロイドの研究などがある.なかでも1939年,すでに10年前に知られていた血液凝固障害を防止するビタミン K1 を単離,同定し,合成した研究は有名である.第二次世界大戦中は焼夷(い)弾の材料開発の責任者となる.夫人との共著で知られる有機化学教科書は,高く評価されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報