化学辞典 第2版 「フッ化ホウ素」の解説
フッ化ホウ素
フッカホウソ
boron fluoride
三フッ化ホウ素BF3と,四フッ化二ホウ素B2F4がおもであるが,そのほかにB3F5,B8F12なども知られる.【Ⅰ】三フッ化ホウ素(boron trifluoride):BF3(67.81).無色の刺激臭のある気体で,平面三角形分子.B-F1.30 Å.∠F-B-F120°.B-F結合エネルギー641.6 kJ mol-1 で非常に強い.融点-127.1 ℃,沸点-99.9 ℃.強いルイス酸で,付加化合物をつくりやすい.フリーデル-クラフツ反応など有機合成の触媒に用いられる.[CAS 7637-07-2]【Ⅱ】四フッ化二ホウ素(diboron tetrafluoride):B2F4(97.62).室温では無色の気体.BOとSF4との反応,B2Cl4のフッ素化などでつくる.気体,結晶とも,対称心がある平面分子(F2BBF2).B-F 1.31 Å,B-B 1.72 Å.∠F-B-F 120°.融点-56.0 ℃,沸点-34 ℃.Cl2 と反応して,BF3とBCl3になる.[CAS 13965-73-6]【Ⅲ】五フッ化三ホウ素:B3F5(127.43).高温・低圧でBの結晶とBF3との反応で得られる気体BFを,低温で凝縮させた生成物のなかから単離された.低温では無色の固体.約-53 ℃ で融解とともに分解する.構造はF3B-BF-BF3と考えられている.[CAS 15538-67-7]【Ⅳ】十二フッ化八ホウ素:B8F12(314.47).B3F5を,-30 ℃ で分解すると,不均化反応,
4B3F5 → 2B2F4 + B8F12
によって得られる.構造は,(F2B)2B(μ-BF2)2B(BF2)2と考えられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報