物質が固体から液体へ状態を変化させる過程。凝固の逆過程である。この過程は一般に吸熱過程であり,物質の単位質量を融解するのに要する熱量を融解熱と呼ぶ。氷が融解して水になる場合は,1g当り約80calの熱が必要である。一定圧力のもとで,物質の固体と液体の相が平衡に存在する温度を融点,または融解点と呼び,これは一般に凝固点に等しい。記号ではmelting pointの略でmpと表す。通常,1気圧の下での融点をその物質の融点とする。固体が結晶を形成しているとき,一定の圧力のもとでは融点は一定であるが,圧力が変われば変化する。融解によって膨張する物質であれば圧力の増加とともに融点は上昇し,収縮する物質であれば降下する。例えば,水の融点(氷点)は1気圧下では0℃であるが,133気圧の下では約-1℃に下がる。アイススケートで滑ることが可能なのは,スケートのエッジ部分に体重による局所的に強い圧力がかかって,その下の氷の融点が下がり,外気の温度が融点より高くなる状況がつくられ,氷が溶けるためである。非晶質の固体物質では一定の融点を示さず,温度が上がると粘い状態を経てしだいに液相となる。これはガラスを熱した場合に見ることができる。このことから,結晶状態を真の固相とし,非晶質の固体物質は液相に属するとみなす考え方もある。混合物の融点は,ふつう純粋物質の融点より低い。この現象を融点降下lowering of melting pointと呼び,融点の精密な測定は物質の純度の判定などに利用される。
融解を微視的に見ると,結晶状の固体を特徴づける長距離秩序が,液体では失われて,短距離秩序だけになると考えられている。秩序が失われると内部エネルギーは減るがエントロピーが増すので,温度が高ければ自由エネルギーは液体状態のほうが固体状態より低くなり,融解が起こる。融解の格子理論では,固体と液体の間の関係は原子や分子のレベルで調べられている。
執筆者:小野 嘉之
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溶融ともいう.固相にある物質が熱せられて液相になる変化をいう.分子論的な機構としては結晶の温度が高くなると分子の熱振動ははげしくなり,振動の振幅は漸次増大し,非調和的な振動になっていく.このような振動がある程度(分子間距離の10% 程度)以上に大きくなると結晶の規則配列は消滅し,融解が起こる.結晶質の固相が融解により液相になる場合は一次転移であり,ギブズエネルギーは連続的に変化するが,一般に融解熱や融解エントロピーを必要とし,密度,比熱容量などの物理量が不連続に変化する.
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[ジャズのゆくえ]
1969年マイルス・デービスは《ビッチェズ・ブリューBitches Brew》(CBS)というレコードを発表した。13人のメンバー中,11人までがリズム・セクションという楽器編成から流れ出すこみいった複合リズム,さらにロックなどジャズから派生して発展したポップスからの再影響に加え,電気楽器を駆使したサウンドは,70年代の新しい動き――クロスオーバーcrossoverないしフュージョンfusionの先駆的作品と評価されている。70年代のフュージョン界の主要なリーダーは,そのほとんどがマイルス・バンドの出身者であったことは,マイルスの存在と影響力がなお衰えていないことを示すものであった。…
…速く溶解させるために系の温度を上げたり,溶質を細かく砕いたり,そしてかきまぜたりするゆえんである。【橋谷 卓成】
[金属工学における溶解melting]
金属を加熱して融点以上の温度にし,固相から液相に変える操作を溶解という。金属の溶解に要する熱量は,固体金属の比熱,変態熱,溶解潜熱,液体金属の比熱から計算される。…
※「融解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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