改訂新版 世界大百科事典 「フランス植民地協会」の意味・わかりやすい解説
フランス植民地協会 (フランスしょくみんちきょうかい)
Union coloniale française
1893年に結成されたフランス植民地経営を推進するための経営者の団体。会長に,ペリエ兄弟銀行を代表し,またコントアール・デスコントComptoir d'escompte(クレディ・リヨネとならぶ当時の三大銀行の一つ)の取締役でもあったメルセが就任し,植民地に利害関係の深い銀行や海運・貿易の大会社の代表が運営委員会に名を連ねた。活動の目標は各会社の共通の利益の追求と各会社間の利害の衝突の調停,経済的また法的方策の検討と提案,研究調査と情報の収集・提供などであった。活動は発展の一途をたどり,〈マダガスカル委員会〉などいくつかの個別的団体の結成を促した。この発展は,80年代のフェリーの植民地遠征政策の段階が世論に支えられていなかったのに比して,90年代の植民地への発展が強力な経済的利益によって支持されるにいたったことを示すものであり,フランス植民地主義の20世紀に入る段階での質的な変化,飛躍的な強化を意味していた。
執筆者:喜安 朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報