ロゼット(読み)ろぜっと(英語表記)rosette

翻訳|rosette

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロゼット」の意味・わかりやすい解説

ロゼット
rosette

(1) 植物形態学上の用語。茎の節間部が詰ってほとんど同じ高さから円形の敷物状に葉が叢生して,バラの花のようになった形態をいう。これは茎の生長時に節数はふえながら節間の伸長が著しく抑制された生育型である。二年生草本植物 (たとえばダイコン) ,多年生草本植物 (たとえばタンポポ) などの越年の茎にみられ,葉が根のすぐ上から出て地面をおおっているようにみえる。これらの植物の多くは,温度や日照時間の変化によって節間部が伸びれば普通の形態の茎となる。 (2) 繊毛環 (せんもうかん) ともいい,クシクラゲの胃水管系の壁にみられる細胞の集りをさす。原腎管炎細胞に似た構造で,排出器官であるという説と,胃水管系から体内に水や栄養を送る器官であるという説とがある。

ロゼット
rosette

花形の装飾モチーフ。非常に古い時代から頻繁に建築彫刻工芸品に用いられた。一般に単円または2重,3重の円に囲まれた丸い楕円形,多角形の中に,開花した花を抽象図式化した文様エジプトのものは蓮華 (れんげ) を主題にしたものと思われるが,一般にはばら形文様で,中心から円周に向って旋回するようなモチーフもあり,これを螺旋ロゼットと呼んでいる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロゼット」の意味・わかりやすい解説

ロゼット
ろぜっと
rosette

短い茎に、扁平(へんぺい)な多数の葉が地面の表面に接して放射状についている状態、あるいはそのような植物体をロゼットという。ロゼットの状態で越冬する植物はロゼット植物とよばれ、タンポポ、ハルジョオン、マツヨイグサなどがある。ロゼット植物には、タンポポのように花序を支える茎だけが春に伸びるものと、ハルジョオンのように春に伸長して花をつける茎の上に、ロゼット状の葉とは別に普通葉をつけるものとがある。

[原 襄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android