改訂新版 世界大百科事典 「フープマイヤー」の意味・わかりやすい解説
フープマイヤー
Balthasar Hubmaier
生没年:1480ころ-1528
ドイツの宗教改革者。再洗礼派の初期の強力な指導者の一人で,教養と学識の豊かさでは群を抜く。生年については1480-85年の説もある。1520年ワルツフートの司祭になり,親交を結んだツウィングリの路線で宗教改革を行ったが,やがて彼と決別,敵対して,1525年再洗礼派となり,ワルツフートに,市参事会の支持を得て,全住民を包括する再洗礼主義の国家教会を設立した。ドイツ農民戦争で農民軍と同盟した同市が,オーストリア軍に占領される直前に逃れ,モラビアのニコルスブルクに赴き,ここでも君主の支持を得て,再洗礼主義の国家教会を設立した。キリスト者は統治責任を引き受けるべきであると主張し,キリスト教的統治者の暴力行使を肯定した。1528年,反乱と異端のかどで,ウィーンで火刑に処せられた。
執筆者:田中 真造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報