改訂新版 世界大百科事典 「ブチア」の意味・わかりやすい解説
ブチア
jelly palm
Butia
南アメリカの熱帯・亜熱帯に見られるヤシ科の小高木。高さ3~8mとなる。幹はやや太く,表面には枯葉の葉柄基部が残存する。葉は羽状全裂し,長さ1~2m,先端はしばしば弧状に内曲し,灰白色または灰緑色。羽片は25~60対,長さ30~50cm,狭長で,上半分は下垂し,先端はとがって2裂する。腋生(えきせい)の肉穂花序は長さ1~1.5cm。花は雌雄同株,黄色または紅色で小型。雄花には6本のおしべ,雌花には3柱頭の1本のめしべがある。果実は球形または卵形または卵状円錐形,長さ径ともに約1~2cm,黄色または紅色に熟し,基部に殻斗(かくと)がある。耐寒性が強く,-7℃までは育つ。南アメリカに9種を産し,日本にも数種が観賞用として栽培され,もっとも普通にみられるのは南部ブラジル原産のブラジルヤシB.capitata Becc.である。鉢植え,または温暖地で庭園用に栽植される。この属の果実は食用または果汁用として利用される。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報