ブラキエーション(その他表記)brachiation

デジタル大辞泉 「ブラキエーション」の意味・読み・例文・類語

ブラキエーション(brachiation)

樹上性の霊長類が、両腕で交互に枝を掴んで身体を振って移動すること。腕渡り。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ブラキエーション」の意味・わかりやすい解説

ブラキエーション
brachiation

テナガザル類が,枝などから前肢でぶら下がって行う移動運動。腕わたりともいう。片手で体を支持しながら反対側の手で前方の枝をつかみ,これを交互に繰り返すことで前進する。類似した行動は,大型類人猿南米のクモザル類にもみられるが,それらはアームスイングとして区別される。ブラキエーションでは,振り子のように位置エネルギーと運動エネルギーの交換が行われており,その結果,効率の良い移動運動が可能になる。高速で行われるブラキエーションでは,両手ともに枝を握っていない飛翔の相が入ることもある。ブラキエーションに特殊化する過程で,テナガザルが小型化したとする仮説がある。
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世界大百科事典(旧版)内のブラキエーションの言及

【チンパンジー】より

… 頭胴長は,雄が80~90cmで雌は70~80cm,体重は,雄が40~50kgで雌は40kg前後である。下肢に比して上肢はよく発達して長く,樹上での腕わたり(ブラキエーション)に適した体形をもっている。地上を四足歩行で長距離にわたって移動することも多い。…

【テナガザル(手長猿)】より

…体の大きさからいっても,雌が雄と同程度に発達した犬歯をもつ点からも,性差はほとんどないといえる。上肢でぶら下がりながら枝から枝へ渡り歩く移動様式(ブラキエーション)が有名で,日常のほとんどの時間を樹上で過ごす。おもに果実を食べる。…

【肘】より

…テナガザルなど腕の長い猿がおり,中国明末の本草家李時珍は小さくて尾の短いのを猴(こう),猴に似て臂の長いのを猨(えん)とし(《本草綱目》),《和漢三才図会》で猨と猿とは同字だと言うように,日本では《古事記》にすでに猨田毘古(さるたびこ)と猿田毘古,猨女君(さるめのきみ)と猿女君とが並記されているから,〈猿臂は長い〉ということになる。枝を交互につかんで腕渡り(ブラキエーションbrachiation。語源であるラテン語bracchiumは腕,前腕の意つまり臂)するとき,猿の1臂が縮んで他側の伸びる臂に通うとみられ,ために〈猿は臂を通わす〉と言われたことがあった。…

※「ブラキエーション」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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