身体(読み)シンタイ

デジタル大辞泉 「身体」の意味・読み・例文・類語

しん‐たい【身体】

《古くは「しんだい」とも》人のからだ。肉体体躯たいく。「身体強健」
[類語]からだたい肉体ボディー肉塊ししむら骨身体躯たいく図体ずうたい肢体したい五体ごたい全身満身総身そうしん・そうみ人身じんしん人体生き身生身体質体力スタミナフィジカル体質的生理的肉体的生体

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精選版 日本国語大辞典 「身体」の意味・読み・例文・類語

しん‐たい【身体】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「しんだい」とも ) 人間のからだ。肉体。体躯(たいく)。身(み)しんてい
    1. [初出の実例]「意気雖青雲之上 身体猶在塵俗之中」(出典:万葉集(8C後)五・八〇〇・序文)
    2. 「身体(シンタイ)肥満の大娘(おほしんぞ)に」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二)
    3. [その他の文献]〔戦国策‐楚策・襄王〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「身体」の意味・わかりやすい解説

身体
しんたい
body 英語
corps フランス語
Körper ドイツ語

通常は人間の生理的・物理的部分をいう。しかし身体は、人間のもつ心的側面を担う部分としての「心」と相関的に、生理的・物理的側面を担うものと考えられた。したがって歴史的にも身体の性格づけは、心をどうとらえるか、またそれが心とどのような関係をもつかで定まる。たとえば心を個人的霊魂と考え、身体をその「容(い)れ物」とする場合でも、心の自由さを奪う檻(おり)であることが強調されるときと、心の意図したことを行為によって実現する道具としての役割が強調されるときとがある。また心を「わたし」あるいは主観ととらえる近世哲学においても、主観を行為するものと考えるほど、身体はその活動を保証する積極的意味合いが強くなるが、反面、主観の観照性(行為せずにただ見聞きする「わたし」としての性格)が重視されるほど、身体は主観の制約性(主として特定視点からしか見聞きできぬ点)としての消極的意味合いが強まる。なお、それらの一般的傾向の極端には、身体は心の産物であるとする唯心論や、逆に、身体(脳など)の働きとして心が存在すると主張する唯物論がある。

[伊藤笏康]

『プラトン著、藤沢令夫訳『パイドロス』(岩波文庫)』『デカルト著、桂寿一訳『哲学原理』(岩波文庫)』『カント著、篠田英雄訳『実践理性批判』(岩波文庫)』『メルロ・ポンティ著、竹内芳郎・小木貞孝他訳『知覚の現象学I』(1967・みすず書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「身体」の意味・わかりやすい解説

身体
しんたい
corps(仏)

近世ヨーロッパ思想における身体は,R.デカルトキリスト教霊肉二元論の持つ道徳的判断を取り払って,理論的見地から物質と精神に分けて以来,心と全く無関係な物質メカニズムとみなされ,この土台の上に自然科学 (近代医学など) が築かれてきた。近代哲学は,精神の本質理性に求め,身体と関係の深い感覚や感情・本能などを避けたのである。しかし,このような近代的身体観に対し,「近代人は身体の重要性を忘れている」と主張した F.ニーチェ以来,反省が起こってきた。現代において,H.ベルグソンや M.メルロー=ポンティのように心理学や精神病理学の研究に注目しながら,心身の相関関係を分析し,近代的身体観を克服しようとする動きが見られる。とりわけメルロー=ポンティは,E.フッサールの現象学的方法を踏まえ,人間が意味を構成していく中心点を「意識」から「身体」へと移し換え,人間は「身体」を介し直接に世界とつながり合っていくと考えた。こうして,精神と身体が裂開しているのに先立つ,身体と世界とをともに仕立て上げている原初の可感的なるものを「肉 chair」と呼んで,この土台の上に,近代的二元論を克服しようとしたのである。

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普及版 字通 「身体」の読み・字形・画数・意味

【身体】しんたい

からだ。〔孝経、開宗明義章〕身體髮膚、之れを母に受く。敢て毀傷せざるは孝の始なり。

字通「身」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「身体」の意味・わかりやすい解説

身体 (しんたい)

(からだ)

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世界大百科事典(旧版)内の身体の言及

【体】より

…しかし,体には広狭2種の意味合いがある。広義では生物体とほぼ同義であり,狭義ではヒトを中心とする高等動物の身体をさす。広義で,生物体としての体は,単細胞と多細胞,植物と動物とをとわず,すべての生物個体の物質的実体である。…

【コミュニケーション】より

… 以上のような区分,分別に対して,コミュニケーションをその手段により分類して,より解釈的にとらえることができる。この場合は,非言語的non‐verbalコミュニケーションと言語的verbalコミュニケーションの二つにまず大別し,さらに前者は表情,身ぶりなどの身体的記号を用いるものから,ものによる象徴,さらには音楽,図像などの複雑な象徴の結合を含むものまで,さまざまな段階に分類することができる。後者も,音声によるものと,文字や図式という複雑な記号体系を用いるものとに分けられ,さらにさまざまな媒体による分類が可能である。…

※「身体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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