精選版 日本国語大辞典「片手」の解説
かた‐て【片手】
〘名〙
※万葉(8C後)三・四四三「斎瓮(いはひへ)を 前にすゑ置きて 一手(かたて)には 木綿(ゆふ)取り持ち 一手(かたて)には 和細布(にきたへ)奉(まつ)り」
② あい対するものの片方。一方の相手。相手。
③ 二つ以上のことを同時に行なうこと。一方。かたわら。片手間。
※福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉長崎遊学「蘭学も漸く方角の分るやうになる其片手(カタテ)に有らん限り先生家の家事を勤めて」
④ (片手の指の数から) 五の数を示す。五十、五百を示すこともあり、隠語的に用いられる。
※雑俳・柳多留‐一二〇(1832)「流石(さすが)命のかなしさに片手出し」
⑤ (二本の矢を一手(ひとて)というのに対して) 一本の矢。片手矢(かたてや)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑥ 棒術の技の名。
※浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)下「棒の秘術の水ぐるま、横車腰車かた手輪違」
⑦ 「かたておけ(片手桶)」の略。
へん‐しゅ【片手】
〘名〙 片方の手。かたて。隻手。
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