日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラシなし同期発電機」の意味・わかりやすい解説
ブラシなし同期発電機
ぶらしなしどうきはつでんき
blush-less synchronous generator
保守を容易にするために考えられた交流同期発電機。ブラシレス同期発電機ともよばれる。従来の同期発電機は主軸に直結した直流発電機を界磁電流のための励磁機とし、固定子側にある励磁機の直流出力から、電気ブラシとスリップリング(固定ブラシと組み合わせて、回転子と固定子との間を連続的に電気的に接続する導体回転リング)を経て回転子の界磁巻線へ供給していた。しかしこの方式ではブラシが多くなり、保守上の問題がある。ブラシなし同期発電機は主軸上に設けられた回転電機子形同期発電機が励磁機となり、整流器を経て界磁電流となる。整流器は回転子に配置されるのでブラシが不要である。励磁機の界磁巻線は固定子側にあるのでその界磁電流の制御によって主発電機の電圧制御が行われる。
このような構成にすると、ブラシもスリップリングもなく保守が容易となる。なお、永久磁石を使った回転界磁形発電機であればブラシは不要である。しかし、大型、高速などの用途では永久磁石回転子には遠心力などの実用上の問題がある。
[磯部直吉・森本雅之]