ブラシ(読み)ぶらし

改訂新版 世界大百科事典 「ブラシ」の意味・わかりやすい解説

ブラシ
brush

ブラッシュともいう。板に獣毛などを植えつけ,ちりやほこりを払う,あるいはのりや塗料を塗る道具。日本語の〈刷毛〉に相当し,ブラシにも刷子の字をあてることがある。《和名抄》では髤筆と書いて〈はけ〉と読ませ,漆を塗るものと定義している。刷毛と書くのは和製熟語。英語のブラシは筆を含み,毛筆に限定したいときはwriting brushとかoriental brushという。起源太古にまでさかのぼり,材料や用途に応じてさまざまな名で呼ばれる。ヘアブラシ,歯ブラシ,洋服ブラシ,靴ブラシなどは日常の必需品となっている。西洋では洗濯ブラシ,浴用ブラシも多用される。一般にブラシの毛としては,豚,イノシシ,馬,ヤギイタチ,テンなどの毛,パイナップル科,ヤシ科などの植物繊維,ナイロン,ビニル樹脂などの人造繊維が用いられる。植毛の方法としては,多数の小さな穴のあいた板の裏から針金ですくい上げてかがるか,穴へさしこんでのりまたは釘で止める等の方式を基本として各種ある。なお,製図などの際用いられる,カモの翼をそのまま利用した羽箒(羽根ぼうき)や,金属のさび落しなどに使う,鉄または黄銅の針金を植えたワイヤブラシなどもある。
刷毛
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラシ」の意味・わかりやすい解説

ブラシ
ぶらし

木材、合成樹脂、金属などでできた台の上に、小さな束にした毛を一定の間隔で植え込んだもの。普通「刷毛(はけ)」とは区別しており、また「たわし」もブラシの一種である。ブラッシュbrushがなまったもので、ほこりや汚れを落としたり、ものを塗ったりするときなどに使う。ブラシの種類は多く約3000種に上るが、用途により家庭用、身辺化粧用、工業用などに分類される。家庭用には瓶洗い、皿洗いなどの台所用、トイレや浴室の清掃用、洗濯用、掃除用、自動車用、イヌ用などが、身辺化粧用には爪(つめ)、マスカラ眉毛(まゆげ)、フェイスブラシ、歯ブラシ、ヘアブラシ、洗顔、ボディ用のほか、洋服や靴用ブラシなどがある。工業用は分野が広く、工場作業者や職人が使うもの、また工場の機械装置に設置されるものなど多方面にわたる。材質としては、植物性(パーム、シュロ、カルカヤの根など)、動物性(ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、タヌキの毛など)、金属性(鋼線、ステンレス、ピアノ線、真鍮(しんちゅう)など)、合成繊維(ナイロン、塩化ビニルポリプロピレンなど)がある。

 なお、家庭用でもっとも多く使われる洋服ブラシにはブタの剛毛が多く用いられ、歯ブラシにはナイロン、高級ヘアブラシにはイノシシの毛が用いられている。

[阿部絢子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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