電圧制御(読み)でんあつせいぎょ(英語表記)voltage control

改訂新版 世界大百科事典 「電圧制御」の意味・わかりやすい解説

電圧制御 (でんあつせいぎょ)
voltage control

電力システムの中のある点の電圧を制御する意味と,供給電圧の大きさを制御することによって電動機の速度制御を行う意味の二つに用いられる。いずれの場合にも最近では電力変換装置が制御手段として用いられるのがふつうである。

電力系統や独立した負荷と接続される発電機の出力電圧を負荷の大きさの変動に対して一定に保つように界磁電流を制御する。

通信機器,情報処理装置,電子機器などの電源として用いられる安定化電源でも負荷電流の変化に対して供給電圧は一定に制御される。これは電源を構成する電力変換装置の位相制御で実現される。

電力系統の各点の電圧は系統内での無効電力潮流の変動によって変化する。配電線の電圧変動を許容範囲内に保って供給電力品質を保持するために変圧器のタップ切換制御や電力系統内で無効電力制御が行われる。

直流電動機の電機子回路に供給される電圧を制御してその回転速度を制御する方式。抵抗制御あるいはサイリスター整流器を用いた静止レオナード制御が広く用いられる。直流電気車ではチョッパー制御が最近使われるようになった。

誘導電動機の一次供給電圧を変化して回転速度を制御する方式。抵抗制御あるいは交流位相制御などの簡便な手段で実現できるので,制御範囲は狭いが,家電機器などを中心に広く用いられ,起動時に急激に過大な電流が流れるのを防ぐソフトスタートに適用すれば省エネルギーにも寄与する。最近ではインバーターを使った方式でパルス幅変調で交流電圧を制御することが多い。
電力変換
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