日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラッター」の意味・わかりやすい解説
ブラッター
ぶらったー
Joseph S. Blatter
(1936― )
国際サッカー連盟(FIFA(フィファ))会長。スイス生まれ。ローザンヌ大学卒業。35歳までスイスのアマチュアリーグでサッカーをしていた。スイス・アイスホッケー連盟事務局長、スポーツ記者などを経て、1975年にFIFA事務局に入る。1981年からFIFA事務局長。5か国語に精通する語学力を生かして前FIFA会長のアベランジェを支えた。1998年6月8日、第8代FIFA会長に就任した。親日家としても知られている。
FIFA事務局に入ってからの23年間はつねにアベランジェとともに行動し、とくに事務局長に就任してからは補佐役として、アフリカとアジアでのサッカーの発展を促した。会長就任後間もなく、ワールドカップの隔年開催案を提案したり、世界中のサッカースケジュールを統一するカレンダーづくりを推進すると語ったりと、古い慣習にとらわれず、批判を受けることを恐れない。また、2001年には、「労働者の自由な移動の権利」を主張して移籍金の廃止を求めるEU(ヨーロッパ連合)の主張に対し、移籍金制度改革を行った。肥大化する組織、流れ込む巨大なスポンサーマネー、増え続ける大会などの影響で、サッカー界はさまざまな問題に直面している。そうした問題をどのように解決していくか、手腕が注目されている。
[中倉一志]