日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブロウエル」の意味・わかりやすい解説
ブロウエル
ぶろうえる
Adriaen Brouwer
(1605/1606―1638)
フランドルの画家。アウデナールデに生まれ、タペストリーの下絵師であった父親から絵画の手ほどきを受けた。のちにハルスの弟子となり、またフランドル派の肖像画家のアトリエで仕事したと推定される。1625年アムステルダムに現れ、27年同地の聖ルカ組合に登録された。31年アントウェルペンに移住。彼の作品は、評価も売れ行きも当時として悪くなかったが、産を収めることができず、32年にはある絹商人に全財産を譲与しなければならなかった。投獄されるなどのこともあって、以後不安定な生活のうちにアントウェルペンで夭折(ようせつ)した。主として農民の生活を題材とし、性格描与に富んだ風俗画を描き、代表作に『村の床屋』(ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク)、『藪(やぶ)医者』(カールスルーエ国立芸術ホール)などがある。
[野村太郎]